返事をしない人たち

今日久しぶりに病院へ行ってきました
人が呼ばれて診察室に入っていったり、会計やお薬の窓口に呼び出されたりするのを見ていて気がつきました
返事をする人がほとんどいない
これはちょっとショックでしたね
呼ばれても全く返事をしない人が85%程度
う、とか、へ、とか返事にもならぬつぶやきとともに行動を起こす人が10%
呼んでいる人に聞こえる程度の声で返事をする人が5%
大体そんな感じでしょうか

皆さんはどちらのグループに入りますか?
私は最後の5%の部類ですね
いまや絶滅を危惧される人種なのでしょうか

「お年寄り、壮年、若者、子供」という分類と、「女性、男性」という分類で、合計8つのグループに分けた場合、どのグループが一番返事をする確率が高いと思われますか?
(本当は「返事をしないのはどのグループでしょうか?」と聞きたいのですが、ほとんどが返事をしないので不本意ながらこんな聞き方になりました)

こたえは、「若者で男性」というグループです
どうでした?あたりましたか?

私にとってはちょっと意外でした
礼儀作法にうるさいおじいさん、おばあさん:残念ながらほとんど返事をしません
社会経験がたっぷり蓄積されているはずのおじさん、おばさん:これも同様
若い女性:名前を知られるのがいやなのでしょうか、まず返事をしません
男の子、女の子:そもそも呼ばれたら返事をするということが「お約束」として認識されていないようです
そんなわけで、若者(といっても社会人らしき人に限ります)の男性が最も返事をする確率の高いグループでした

これは、病院に限らず、銀行でも郵便局でも、とにかく「呼び出し」のあるところでは共通した状況のようです
なぜなんでしょうか
呼ばれた後、椅子から立って診察室や窓口へ向かうという行動を起こしているから分かるでしょう、ということなのでしょうか?
「結果が出たらそれでいいだろう?」
そういうことですか?
返事だけ良くってちっとも結果が出ない人も困るのですが、結果を出しているんだから良いだろう、というのも困るんじゃないでしょうか

だいたい、人は呼ばれた瞬間にぱっと立ちあがれるわけではありません
半脱ぎになっていたサンダルを履きなおしたり、読んでいた本を鞄にしまったりと、「呼ばれた」というトリガーと「立って歩き出す」というアクションの間に必ず遅滞が発生します
その間、呼んだ方は「チャンと聞こえたのかどうかわからない」という困った状態に置かれます
次にやるべき仕事に取り掛かれず、待合室を見渡し、再度呼んでみたりします
ちなみに、返事をしない人は何回呼ばれても返事をしないですね
「あ、はいはい、私です」という反応はしません
確信犯なのですね

一方で、呼ぶ方にも問題はあります
蚊の鳴くようなか細い声で呼びかける人が多い
これでは、呼ばれているのが誰なのか、何の用で呼ばれているのか、よほど注意していないと聞きとれない
頼むからもっと大きな声で呼んでください、大声がいやだったら拡声器を使ってください、たいしてお金がかかる話じゃないでしょう、お互いの幸せのために、と言いたくなります
どっちもどっちと言ってしまえばそれまでなのですが、すくなくとも呼ばれたことが分かったら返事くらいしましょうよ、ということです

たまに「ハイ!」と良い返事をする人がいると、窓口の人の顔がホッとすると同時に明るい表情に変わるのがわかります
その顔を見ると自分も気持が良くなります
それだけでも返事をする甲斐がある、そう思えるのですね
コミュニケーションってそういうことなんじゃないでしょうか
かりに、返事をしても相手が仏頂面のままだったとしても、気にするのはよしましょう
期待していない返事が返ってきたんで、とっさにどんな顔をしていいか分からなかったんですよ
そんな人でも、何回かあまり期待していなかった返事が返ってくるようになると、表情が明るくなると思いますよ
お年寄りは、いまさらもう言っても手遅れでしょうからいいとして
いい加減世間を見てきたおじさん、おばさん、もうちょっと考えてくださいよと言いたいですね
お手本にならなきゃいけない人達ですから
こういう人が、「うちの孫は朝会ってもおはようも言わない、嫁のしつけが悪いからだ」などと言うんですね
自分からおはようと言う気ははなから無いんですから、そりゃ孫だって言いませんよ
とはいっても、そういったお手本がいない若者や子供たちは、放っておくのはかわいそうですから、親が教えるしかないんですが
ここで手詰まりになってしまいますね
仕方がないから、会社に入った時点で新入社員研修で「こんなことまで言わなきゃいけないのか」ということを教えることになるわけです。
まぁ、会社も「即戦力を育てる」といった目標も大事ですが、それ以前に「しつけ」レベルのことも、これは「国のために、国の代わりにやっている」というくらいの気持でやる、ということですね
税金を納めるだけが社会貢献ではない、と割り切って

最後にもうひとつ気になっているのは、
「病院だけでなく銀行も郵便局も」と書きましたが、実は病院はその他とは本来位置づけが違うのです
「お医者さん」「先生」と言うくらいで、患者の我々としては敬意を持って接するべき相手、なのです
医師だけでなく、看護師さんも窓口のスタッフの人たちも
お金だけではなく、人を助けるという使命感をもっているひとたちだと思うし、思いたい
近年、医療ミスとか患者にたいする虐待とか院内感染の隠ぺいとか、信頼を覆すような事件も多い
また、医療をサービスととらえ、客がサービスの提供者にたいして厳しく接することがサービスの質を高める、競争がシビアになるほど消費者は得をする、といった考え方を医療の場に持ち込もうとする風潮があります
そのようなことが、「お医者さんと患者」の上下関係をなくし、場合によっては逆転させるようなことにつながっている
その表れのひとつが「返事をしない患者さま」なのではないかと私は思うのですが、深読みしすぎでしょうか
お医者さんというのは使命感がないとできないような仕事だと思いますし、そのような風潮が使命感を放棄させるような方向に働くことはだれにとっても幸せをもたらさないと考えるのですが、いかがでしょうか